定年退職

20代から30代にかけて働いていた会社の上司が定年退職されたというので、送別会に呼んでいただいた。
10何年も会っていなかった同僚たちにも久々に再会して、「変わってないねえ」やら「変わったねえ」やら、若い子が見たらみんなおじさんとおばさんなんだけど、当事者たちはタイムトンネルをくぐってきたような気分で、当時の面影のままだと思い込んで、わいわい酒をかわした。
音楽雑誌が最も面白い時代だった。新しいことをどんどんやれて、夜も昼もなく会社にみんな住み込んで働いていた。
レコード会社のプロモーターに「ここは大学のサークルのようですね」とよく言われた。会社っぽくなかったんだろう。私はそれまで旧体制の老舗出版社で大人っぽい仕事をしていたので、転職したときにそのあまりにもアナーキーな世界に度肝を抜かれた。ほんとに変人ばかりだった。常識ってなんだっけ?って価値観を根底から揺るがされることばかりだった。そんなこと考えるより何より最初っからとにかく忙しかったし。毎晩飲んで、飲んだあとに会社に戻って朝まで仕事して……。
そんな時代を一緒に過ごした戦友たちにひょんなことから娘の不登校の話をしたところ、「いいじゃん、いいじゃん、問題ないよ」「学校行ってもひとつもいいことないよ」「これからはそういう子のほうが有望だよ」って、賛同の嵐。確かにこの会社に学歴は不問だった。確か東大や京大出もいたけど高卒もなぞの出生の人も一緒くたで働いていたな。みんなバラバラになっちゃったけど、こんな風に集まれるなんて、やっぱり当時の編集長があの激務の中でも死なずに定年退職まで会社にいてくれたお陰だね。
それにしても定年退職かあ……。どこにも長く居続けられない私には遠い遠い夢のような話だわ。退職金いっぱい出たんだろうなあ。今度おごってもらおう……
今になっていろんな大事なことをたくさん教えてもらったなあと思う。きっといっぱい私たちの尻拭いもしてくれてたんだろうなあ。しかしなんであんな変人ばかり部下に揃えてたんだろうか。よっぽど「ふつう」が嫌いだったんだな。そのアンテナに私もひっかかったということは……。
いやいや、長いあいだお疲れさまでした。

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by momeco | 2012-03-04 00:22 | 日常


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