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ホームエデュケーションてどんなことしてる?

学校に行かずに家を中心に育っていることを、「不登校」のひと言ですませることに、私は不満を持っている。
私自身は「不登校」という言葉に悪いイメージはないのだけれど、なにしろ世間の目は冷たいし、同情されても非難されてもどちらもめんどくさい。
娘はわりあい平気で「私は不登校でーす」って明るくカミングアウトしちゃう。それはそれでナイスなこと。
まあ、私はあえて、「ホームエデュケーション」と言うことにしている。
じゃあ、ホームエデュケーションってなんでしょう? 何やってるの?ってよく聞かれる。謎だもんね。
100人のホームエデュケーション家庭があれば100通りのやり方があると思う。
家庭という単位じゃなくて、それこそ兄弟がいればそれぞれのやり方がある。
ひとりひとり違う。それがホームエデュケーション。

学校に行けない人も、行きたくない人も、家にいて育つ。
引きこもりだろうが、ネット三昧だろうが、それもホームエデュケーション。
でも、これだけは言える。
「何もしていない」人はいない。
例えば一日中ゲームばかりやっていても、布団をかぶったまま出て来ない状態であっても、
本人の内面ではいろんな葛藤や思索がかならずある。人は「無」ではいられないから。

で、わが家の場合を紹介すると、
まず、朝起きる時間は、前日の寝る時間によってまちまちだ。
早く寝れば早く起きるし、遅くまで何かに夢中になっていれば当然朝は起きられない。
一度、朝7時に私が起きたときに、まだ布団の中でipadで動画を見ていたときはびっくりしたけど、
それは一回きりだった。まあ、10歳も過ぎればそんな体力もあるということだ。
だいたい夜になると創作意欲がむくむくと沸いてくるようで、
遅い時間に突然何かを作り出したりすることも多い。それもとことんやってみればいいと思ってみている(というか先に寝てしまう)。その時間に創作活動をする楽しさを私も知っているからだ。
でもまだ彼女の場合は、私が寝てしまうと寂しくて一緒に布団に入ってくるので、たいていはその日のうちに寝てしまう。
朝は予定があればちゃんと起きるし、旅行のときなんかは張り切って起きる。
それ以外、予定のないときは目が覚めるまでは寝ている。
早寝早起きよりも、寝不足のほうが体にストレスだと思うから、無理に起こすことはしない。
それに、私自身、午前中の静寂の時間を楽しみたいという事情もある。
寝ている間にウォーキングに行ったり、DVDを見たり、静かに本を読んだりできる。
これは、ホームエデュケーションママさんたち共通の思いだと思うけど、ひとりでいられる時間は母親にとってとっても貴重。なにしろ家でも外でもほとんどずっと一緒だから。これで彼女を朝無理に起こして不機嫌なまま一日一緒に過ごすなんて、苦痛過ぎるでしょ。
朝は機嫌よく始まるのがいい。何時に起きても十分な睡眠時間をとったとき、彼女は「おはよう」といういい声を聞かせてくれる。

朝の話だけでこんなに書いてしまったけれど、
でも、よく聞かれるし、よく言われるんです。朝陽を浴びせたほうがいいとか、早寝早起きしなくちゃだめとか。将来困ることになるよ(これはどんな場面でもよく言われる)とか。
で、私もいろいろ考えて、さまざまなことをやってみて、結果、わが家は「睡眠時間」を大事にすることにした。
楽しみな予定があればどんなに早くても起きれるということもわかった。もちろん前日は頑張って早寝もできる。
彼女は普段は時間を気にせずに生きてるので遅刻することもしばしばだけど、映画とか、飛行機とか、どうしても守らなくちゃいけない時間に関しては私よりもずっときっちりしてる。
逆にいえば、人の遅刻を責めたりせかしたりすることもないので、とてもいい性格だと思う。

勉強について。
わが家は、基本的にはいわゆる「学校の勉強」に準じてやることはしていない。
最初は気になって、教科書を見たりもしてたんだけど、あれ、やっぱりつまんないですね。残念ながら。
ホームエデュケーションでもやっている家庭はあるみたい。毎日何時間は勉強の時間ということで、自分で選んだテキストで、親も監視して、わからないことは教えたり。
それもいいなと思う。本人もコンプレックスがなくなるだろうし、学力はやる気次第でぐんとのびるでしょう。
でもまあ、憧れです。私自身がそんなこと、毎日こつこつできる質じゃないし、これは親の性格によるところが大きいんじゃないかな。
でも、集中力はものすごいので、必要だと思えばやるでしょうし、逆に言えば必要なことしかしないって、なんて効率がいいんだろうか!とも思うわけです(だって一生使わない方程式とかばっかりでしょ)。

娘は本も漫画も大好きで、ほぼ活字中毒。漢字は書けないけれど、難しい字もたいてい読める。間違った読み方をしてる場合も多いけど、私もかなりあやふやだから、一緒に調べたりする。
計算は苦手〜って言ってるけど、買い物も、フリマでお店番するときも、おつりの計算はばっちり。「ピック10」という短気記憶を鍛えるゲームも、けっこう強い。
地名や歴史の概念も、本やテレビでなんとなく理解し始めているみたい。
地理に関しては、娘を見ていて感じたのは、ここが東京で、日本の中のここにあって、日本は世界の中のここにあって、地球は宇宙の……っていうのを理解できるのはけっこう大きくなってからなんだなあということ。
脳の発達段階として、9歳くらいでようやく時間や距離感を理解できるようになるらしいと聞いて、そのくらいから海外に行ったり飛行機に乗ったりしてみた。
ほんとに、それまではただついて来るだけで地理や場所の概念がなかったのが、9歳、10歳になると急に、沖縄や北海道が東京から離れた場所にあって、外国はもっと遠くにあって……ってことを、娘が実体験とともに理解していく様子が手にとるようにわかって面白い。発達する、成長するってすごいなあと感心する。
そういうことは、すべての場面で多々ある。
大人はわかって当然だと思ってることが、成長途中にある子どもには出来なかったり、理解できないことがある。だけど、それはまだ未開発なのだから当然なのだ。
昨日までもやもやとしてわけわかんなかったことが、今日は「ああ、そうなのか」みたいなことが日々起こっているのが子どもの脳なんだよね。そばでそれを見ていると、ほんとにびっくりする。
だから、この子はこれは出来ないとか、これは得意だけどこれは苦手とか、子どもの段階でレッテルを貼ることはしちゃいけないんだなと思った。
だって、急にわかるようになるし、突然出来るようになる。それは本当は突然じゃなくて徐々に徐々に育っていってるからなんだろうけれど、外から見てると、「わ、急に出来るようになった!」って思う。
そして、そのスピードはその子その子によって違うから、親として大事なことは、比べないこと。
今出来なくても、いつか出来るようになるんだから。出来る限り長い目で見る。
だってよく考えてみたら、大人になってから出来るようになることだっていっぱいある。
きっと「あなたはこれは苦手ね」とか「これは出来ないね」とかって親にレッテルを張られると、子どもはそれを信じて自分で成長を止めちゃうんじゃないかな。そういうこと、多いような気がする。

今、彼女が興味を持ってるのは「実験」。
「科学の実験」という本(これも彼女が自分で調べて「買って欲しい」と言って買ったもの)を見て、あれこれ煮たり冷やしたり、混ぜたり育てたり……
「魔女の薬草箱」という難しい本も読んでいろんな薬草の名前を知ったり……
理科の勉強をしているつもりはまったくなくて、どちらかというと、魔女になって秘薬を作りたいとか、そんな妄想の中で実験を楽しんでるみたいなんだけど。

ちょっと前は工作ブーム。のこぎり、とんかち、接着剤……大好きで、大きなものを作りたがる。

でもねえ、うち、申し訳ないけど狭いのよ。
あっという間にリビング(部屋ってそこしかないけど)がアトリエになっちゃう。
ホームエデュケーションはそこが親の我慢のしどころかなーって思う。
いろいろやってみたいという気持ちは大事にしたい。
火も使いたい。水も使いたい。電気もつけてみたい。切ったり貼ったり描いたり汚したり、あれこれやりたい。
当然、いろいろ焦げる、机の上は水浸し、キッチン道具は持ち出されるし、あちこちに描き散らかした紙や段ボールが散乱し、床はなんだかざらざら、べとべと……
「もーーーーっ!」ってなりそうになりながら、やる気をそがないように片付けさせたり(無理だけど)。
結局、部屋をきれいに保つのは諦めなければやっていけない、「汚さないで」暮らすなんて無理だということ、これが実状だと気づいた今日このごろ。
だけど、とことん好きなだけやりまくれるのが、ホームエデュケーションの一番のいいところだと思っているので、なるべく、出来るだけ、カビが生えたり家が壊れたりしなければ……なるたけ私が我慢して、とことんやってもらいたい、もうそう覚悟するしかないなあと思うわけです。

それで彼女の将来がどうなるでしょう。
そんなこと、誰にもわからない。学校に行ってたってどんな未来が待ってるかは未知でしょ。
大人だって、今どき安泰な会社や仕事なんてないんですから。
「そんなんじゃだめ」「こうでなければ生きていけない」
そういう価値観から遠く離れて日々を送っていくことが、今は楽しくて仕方がない。
そんなわが家のホームエデュケーションの紹介でした。
by momeco | 2012-10-20 15:10 | むすめ


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